「銀河英雄伝説」の話
卒業論文の最中に「銀河英雄伝説タクティクス」をプレイしてみた。
ちなみに最初のガチャで引いたのはルッツ「中将」だった。
どうにも帝国側の将兵は皆、気づいたら大将になってたイメージが強いから中将って肩書にはすごい違和感と小物感があるのよね。
そのルッツも、現在スカパーで放送しているアニメ本伝では来週当たり死ぬんだけれども。
「銀河英雄伝説」は1982~1987年まで刊行された「スペースオペラ」だ
編集から逃げることで有名な作家で、アルスラーン戦記が30年たってもまだ完結していないことからも酷さは伺えるだろう。
舞台は地球を離れ、宇宙の時代。
銀河に進出した人類は2大勢力に分かれて戦っている、という設定。
この中で専制主義と民主主義の旗を掲げるそれぞれの陣営の主人公が宇宙の覇権をめぐって争っていく、っていう話。
舞台が宇宙ではあるけれども、別にSFに傾倒しているわけではなくむしろ話の内容自体はかなり現実に寄っている感じがする。
だって、全編通してのテーマは「専制政治か民主主義か」だから。
特に同盟側の主人公:ヤン・ウェンリーの行動原理はシリーズ中盤以降、民主主義の存続、ただそれだけだったくらい。
銀英伝の読者の中で同盟側の主人公:ヤン・ウェンリーが完全に嫌いって人はいないんじゃないかなぁ。
俺も好きだし
なんだか年齢かかわらず「皆の父」って印象がある。
常に逆境に立ち向かいながらもついに1度として負けることもなかったし。
公式でも日本人のほとんどがヤンのことを好きなキャラクターとして挙げているって結果が出ているらしいし
曰く「専制政治の罪とは、人民が政治の害悪を他人のせいにできるという点に尽きる」らしい。
やっぱり贔屓にしているキャラの言い分は素直に「なるほど」と思わせられるね。
特に対する帝国側の主人公が政治形態うんぬんについてヤンほど執着していないっていうのも大きいのかもしれない。
ただその言を発したヤン自身が民主主義の原則「文民統制」のせいで幾度もチャンスを逃し、危機を作り、最終的に暗殺される遠因まで作ったことを考えると、ヤン個人を信奉しても、その価値観までもろ手を挙げて賛成はできないかもなぁ。
全体を通しで読んでいると学者肌のヤンの言っていること(民主政治)に絶対の正義があるようだけれども、実際は専制政治も民主政治も正しく機能すればどちらも有効なことに変わりはないのよね。
ただ物語序盤は帝国側が僭主政治に陥っていて、物語中盤は同盟が衆愚政治に陥っていただけで。
結局物語は専制政治の中に民主政治のフロンティアを共存させるってところで落ち着いたわけだけれど。
ただ、今の日本の現状を鑑みるに専制政治に希望を持たざるをえないかなぁ
だって現状は明らかに衆愚政治の一歩手前に来てると思うんよ。
こんなこと書いてる自分自身だって未来に不安は抱いても、じゃあ候補者を精査して日本の未来を変えよう!って気概は全くないもの。
自分が被選挙人になるくらいだったら他国にわたったほうがよっぽど楽だろうし。
誰も沈没しかかった船のかじ取りなんてしたくないもんね。